毎年わが家には季節になると犬フィラリア症予防のお知らせハガキが届きます。
  

犬フィラリア症とは

フィラリアとは寄生虫の名前で、英語でハートワーム(heartworm)といいます。

犬フィラリア症は、犬同士で直接うつるのではなく、蚊が感染を媒介しています。つまりは、蚊に刺されるこで感染してしまいます。室内犬だからと安心してはいけません。室内にも蚊は侵入してきますし、お散歩時に刺されることも多い。

蚊が吸血するとき、同時にフィラリアの仔虫を犬にうつします。そのフィラリアの仔虫は皮下組織で成長し、血管中へ入ります。その後心臓内や肺動脈にはいりこんで成虫となり全身にわたって深刻な悪影響を及ぼし、死にいたる確率の高いこわい病気です。成虫は細長いそうめん状の虫で長さ15~30cmにもなります。

症状は、寄生している成虫の数や感染してからの年月、寄生部位、動物の体格、仔虫のかずなどによってさまざまです。初期はほとんど無症状ですが、次第につぎのような症状がでます。

  • 元気がなくなったり、散歩に行きたがらない
  • 食欲がなくなる
  • 咳をよくする
  • 腹水がたまり、おなかが腫れてくる
  • 貧血・失神

しかしこの犬フィラリア症は予防することができます。かならず予防・蚊対策をしてあげましょう。

犬フィラリア症と愛犬コロ

私が小学生のころに飼っていた愛犬コロ(雑種、当時外飼い)は、この犬フィラリア症の感染により亡くなりました。犬フィラリア症の予防薬は飲ませていなかったようです。それはとてもひどい症状でした。今でも忘れることはできません。思い出すだけで涙が溢れてきます。当時は「フィラリア」という病気をよくわからないまま受け入れるしかありませんでした。

一番目立った症状は、咳でした。とにかく咳がとまりません。そしてその咳は血液がまじったものです。病院に連れて行ったときにはもう手の施しようがないと言われたらしく、そう母親から聞かされたときには、とても悲しくショックでした。亡くなる直前には、犬舎の周りの土にはコロの吐いた血がたくさん染み付いていました。お腹もパンパンに膨れ上がっていました。本当に、コロはつらかったと思います。当時小学生だった私は何もしてあげることができませんでした。いっぱいいっぱい泣くことしかできませんでした。「フィラリア」という言葉は悲しい記憶とともに、一生忘れることはないでしょう。

犬フィラリア症を予防する

犬フィラリア症を予防するいちばんの予防は蚊に刺されないようにすることですが、24時間見張っているわけにもいきません。犬フィラリア症は蚊を伝染媒体にしているため、蚊の発生する時期に合わせて薬をあたえます。

勘違いしやすいのですが、その予防薬は犬が蚊に刺されないようにするための薬ではないということです。犬の体内に入ってきたフィラリアの感染仔虫が、成長して心臓に寄生してしまう前に駆虫するための薬です。

したがって、予防の期間は蚊が出始めたら開始し、蚊を見かけなくなってからも1〜2ヶ月継続します。地域や気候により、予防の期間には差がありますが、温暖化により蚊の発生期間が昔より長くなってきているようです。その季節になると、かかりつけの動物病院からは予防のためのお知らせハガキがとどく場合がおおいかと思いますが、とどかない場合は予防忘れしないようにしたいですね。私の住む地域では5月から11月の期間で予防薬をあたえています。

予防薬には、およそ月に1回あたえる錠剤タイプ・顆粒タイプ・チュアブル(ジャーキー)タイプ・滴下式のスポットタイプ、また注射によるものがあります。いずれも、獣医師とよく相談してそのこに合った予防薬を選んであげましょう。

もうひとつ大事なことがあります。予防を始めるにあたり、血液検査をしたほうがよい場合があります。血液中に仔虫がたくさんいると予防薬により仔虫が急速に死ぬため、ときにショックをおこすことがあるようです。一度の採血で、健康診断をかねて他の血液検査も行うと、病気の早期発見につながり愛犬の健康管理にとても役立ちますので、動物病院でとよく相談しましょう。

錠剤の飲ませかた

片方の手で愛犬の上あごを保定し、すこし上に持ち上げるようにして口を開きます。口の中のできるだけ奥のほうへ錠剤をいれます。口を閉じさせて鼻先を上に向けてノドをさするようにすると飲み込みます。

フードやおやつにしのばせて一緒に飲み込んでくれると一番ラクですが、薬だけうまく吐き出しちゃうこもいるようです。また、直接飲ませるのも難しい場合はピルクラッシャーが便利です。錠剤を粉状にくだいて、フードやミルクに混ぜて与えることができます。