我が家の愛犬の写真です
  

ダックスフンドはどんな犬?

ダックスフンドはドイツ原産の犬です。したがって、ダックスフンドという言葉もドイツ語です。ドイツ語で「dachs」はアナグマ、「hund」は犬を意味するので、直訳するとアナグマ犬ということになります。ダックスフンドは元来猟犬でアナグマ猟に使用された犬ということで、アナグマ犬つまりダックスフンドと命名されました。ドイツでは現在でも猟に使用されているダックスは多いようです。

日本では猟犬として努めるダックスを見たことはありませんが、猟犬というのは多頭飼いができるということ、つまり多頭飼いに向いているということです。発情期の管理をしっかりすれば、たくさん飼ってもOKなのです。ダックスは被毛のタイプやカラーも豊富なので多頭飼いしたくなりますが、お世話も頭数分増えますし、食費も医療費もそのぶん増えます。また、2頭目以降の犬は先住犬のいいこともわるいことも真似する場合があるということも頭におく必要があります。ダックスを多頭引きしてお散歩している飼い主さんをよく見かけるようになりました。

        

ダックスフンドの特徴としては、なんといっても胴長短足のスタイルが有名ですね。性格は基本的に好奇心旺盛で明るく元気です。元来狩猟犬ですので、するどい嗅覚をもち、周囲の音や動きに敏感でよく吠え、興奮しやすいところがあります。吠え声は太く声量もあるので、ちゃんとしつけしないとうるさく感じることも。

   

ダックスフンドの種類

ダックスフンドは大きさ、被毛のタイプ、被毛の色などの種類も豊富で楽しめます。体の大きさと基準値は生後15ヶ月経過時点で計測します。いちばんよく見かけるダックスは小型犬のミニチュアダックスです。スタンダードダックスは中型犬にあたります。

スタンダードダックス
体重9~12kg、メスの場合、胸囲37cm超~47cm以下(オスは2cmプラス)
ミニチュアダックス
体重4.5~4.8kg、メスの場合、胸囲30cm超~35cm以下(オスは2cmプラス)
カニンヘンダックス
体重3.2~3.5kg、メスの場合、胸囲25cm超~30cm以下(オスは2cmプラス)

ダックスフンドの被毛タイプ

被毛タイプによってお手入れのしかたが違ってきます。

スムースヘアード
ダックスフンドの基本となっていて、毛は短くさわり心地はツルツルしており、お手入れはいちばんラク。。寒さ対策が必須。とても忠実で物事を自分で判断できるとても頭の良い犬です。
ロングヘアード
スムースとスパニエル種との組み合わせから生まれました。優雅なやわらかい長い毛をもっています。被毛のからまりを防ぐため日々のブラッシングは欠かせません。トリミングは定期的に必要ですが、自宅でも比較的カンタンにできます。甘えん坊な性格で、一番吠えるとも言われています。我が家の2わんはこのロングにあたります。
ワイヤーヘアード
スムースとシュナウザー種の組み合わせで生まれ、眉毛や口ひげに特徴があります。硬くごわごわした毛をしており、トリミングは定期的に必要でストリッピング(抜く)ができる美容師さんにお願いするのがおすすめです。とても活発でやんちゃな性格です。

ダックスフンドの被毛カラー

ダックスフンドは被毛カラーの種類が豊富なのも魅力的なところですが、珍しい被毛カラーのダックスフンドは注意が必要です。JKC(ジャパンケネルクラブ)によると下記以外の毛色及び毛色パターンは失格、色素が欠乏しているものは非常に望ましくない、とあり認められていません。無理なカラーブリーディングにより生まれた可能性があり、体が弱い、短命の場合も少なくありません。

単色
レッド、クリーム
2色
ブラックタン、チョコタン、ブラッククリームなど
シルバーダップル、チョコタンダップル
ブリンドル

ダックスフンドがかかりやすい病気・ケガ

ダックスフンドの胴長短足、垂れ耳なスタイルはとてもかわいくて親しみがありますが、それがゆえにかかりやすい病気・疾患があります。

椎間板ヘルニア
椎間板が変形して腰の神経を圧迫し、歩行困難や運動障害が生じる。後肢の麻痺、失禁、ひどくなると腰抜けの状態になり自力で排尿・排便が困難になったりする。ダックスは首(頚椎)より腰(腰椎)の椎間板ヘルニアが圧倒的に多い。肥満、急な段差や階段、ソファなどへの上り下り、すべりやすいフローリングなどの床、上下運動になる遊び、縦に抱いたりおろしたり、腰に負担がかかることは避けましょう。
アレルギー
皮膚がただれたりかゆがったりする皮膚アレルギー、ワクチン接種後に顔が腫れたり、下痢おう吐をおこしたりする
外耳炎
耳が垂れているために蒸れやすく、アレルギーだけでなくダニの寄生や細菌の繁殖などによる炎症が起こりやすい。耳の中が赤くなったり、はげしく痒がって頭をつよくふったりします。耳の中の毛は定期的にカットしましょう。
歯周病
歯ぐきが腫れて「歯肉炎」になり、ほうっておくと歯がぐらつき「歯周炎」へと進行します。歯ぐきから出血したり、膿がたまる、歯が抜ける、歯をささえている骨が折れたり、菌が体中にまわり悪影響をおよぼすこともあります。日々の歯みがきがとても大切です
白内障
目の水晶体が白くにごる病気で、視力障害がおきる。失明することもあるが、犬は聴覚と嗅覚がすぐれているため日常生活にさほど支障がないとされていますが、進行をおくらせるための点眼液があります。
おなかのケガ
ダックスは胴長短足というスタイルのため、おなかがとても地面に近い。例えば、枯れた芝生や草木の上はチクチクしるので、毛のすくないおなかをこすったり、階段などの段差でおなかをぶつけたりしやすい。

ダックスフンドの交配とタブー

愛犬のBabyが見てみたい!と1度は考えた事があると思います。私も、犬を飼いはじめたころはそう思っていました。しかし、犬の交配について勉強していくうちに、飼い主の責任の重大さや、ダックスフンドの交配(繁殖)はとても奥が深く、複雑でかんたんではないということを知り、安易にできるものではないとあきらめました。

長年、ダックスは人気犬種トップ3内に入っており、安易な交配、営利目的での交配など乱繁殖され続けて、スタンダード(標準犬種)の維持が難しくなってきているようなのです。個人で交配させようと考えている方、ダックスに限らず、犬の交配に伴うリスクについてよく勉強してほしい。あとで後悔しないようよく考えて、考えて、考えてほしいと思います。

違毛種同士、体格違い、ダップル×ダップルのカラーの組み合わせ、血筋、遺伝的疾患因子の有無など交配には向かないタブーとされる条件がたくさんあります。安易に交配させて体の弱い子や先天的異常や奇形をもった子が生まれたり、死産になってしまうことがあるということをご存知でしょうか?

一般論ですがダックスは色素が薄くなればなるほど、健康面や性格面に支障がでてくることが少なくないようです。タンが小さいと色素が濃いといわれています。色素が薄いということは、外からの弊害を受けやすく病気に対する抵抗力も弱いということです。

ダックスはカラーが豊富なところも魅力的なところのひとつで、ついついめずらしい毛色に惹かれてしまうことも多いです。でも、色素が薄い可能性がある、つまりは遺伝的にもかなり複雑になっており、その子の子孫を望むのはまずおすすめできません。そういっためずらしい毛色のダックスをウリにして無理な繁殖を繰り返しているブリーダー・業者も一部見られます。販売目的だけで、その子の遺伝的な事柄があればその説明、また将来の繁殖などについての十分な説明もない、もしくは答えられないようなブリーダー・業者は避けるべきだと私は考えています。

血統書があるから安心と思うのはやめましょう。遺伝的な疾患・因子の有無は血統書には書かれていないからです。

なお、「動物の愛護及び管理に関する法律」により、個人で自宅で繁殖をして有償で譲渡する場合も、動物取扱業の登録が必要で、違反した場合は100万円以下の罰金が課せられる場合があります。

   
   

ダップルの交配

ダップルの交配は非常に複雑で、レッドやブラックタンなどよりかなり神経を使います。どうしてかというと、ダップル×ダップルをかけ合わせると生存率がかなり低くなってしまう確率が高く、タブーとされています。また愛犬がダップルではないからと安心はできません。

ダップルがどうやって生まれるかというと、親のどちらかがマールという名の遺伝子を持っているとダップルが生まれる可能性があります。どんな模様になるかは生まれてくるまでわかりません。わずかに斑が入っている場合、ひとつでも入っていればダップルということになり、マール遺伝子をもっているということになります。

我が家の那智も一見、ブラックタンにしか見えないのですが、胸のところに白い斑が入っています。ですからマール遺伝子を持っていることになります。レッドやクリームは毛の色が薄いので、ダップルの白い斑を見逃してしまっている可能性があります。よく観察してみてください。

ダップルと交配させるのなら体毛が2色のダックス(ブラックタン・チョコタン)と交配させるのが基本形ですが、我が家の那智のようにマール遺伝子をもっていないか気を配る必要があります。また、血統書などで3代前〜5代前までさかのぼって、マール遺伝子を持っている可能性があるかどうか、どういう組み合わせで血統が続いているかを確認することが大切なのです。

そのため、ダックスフンドを安易に個人で交配(繁殖)させることはおすすめしません。疾患をもったまま生まれてしまう子達を増やさないために、生まれてくることもできない子達を増やさないために、安易な交配が繰り返されないようになることを願っております。

   
   

犬の交配(繁殖)は飼い主の責任

ダックスにかぎらず、愛犬をどうしても自己交配させる場合、事前によく勉強して欲しいです。
まず、出産は母犬の命の危険をともない、とても大きな負担がかかります。決してブリーダーさんまかせにしてほしくないです。そのブリーダーさんも、犬種の向上を目的とした交配を行っていて信頼できるのか、プロのブリーダーや獣医さんを見極めて、よく相談してほしいと思います。その上、リスクがあるということを忘れずに納得・理解した上で行ってください。

生まれた子には何の罪もないのです。疾患をもって生まれた場合、責任をもってその子を育てていけますか?

無事に生まれたとしても、生まれるのはまず1頭ではありません。お友達ダックスわんこは、死産をふくめ9匹出産しました。里親さんをさがすことは想像以上に大変で神経をつかいます。

里子に出す場合、犬を飼う知識・環境をもつ安心できる里親さんを責任をもって探すことができますか?やっぱり飼えない、と戻される場合もあります。里親さんが見つからない場合、すべての仔犬を最期まで育てていく信念と環境、金銭的余裕はありますか?

すべては飼い主さんの責任です。健康な犬の種を絶やさないためにとても大切なこと。かわいそうな子孫を残さないためにもとても大切なこと。大切な愛犬のことをよく考えて、理解してほしいです。

   

リンク

  • 一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)純粋犬種の犬籍登録、有能・優良犬の普及、畜犬の飼育の指導奨励、動物愛護精神の高揚のために活動している国際的愛犬団体です。交配を行なう際、注意することや血統書の申請、遺伝性疾患に対しての取り組み、出産日換算表などの情報が充実しています
  • 特定非営利活動法人 日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD Network)身体障害者補助犬および家庭愛玩動物を含めた人の福祉に貢献する動物に多発している遺伝病の診断、情報収集、情報提供すること、又これらを広く社会に普及するための教育活動を行うことによって、人と動物とがより健全な関係を築くことを目指し、福祉や社会教育の推進及び、不特定かつ多数の者の利益に寄与することを目的とする非営利団体です