ブルセラ症(brucellosis)とは、ブルセラ(Brucella)属の細菌に感染しておこる人畜共通感染症で、日本においては家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病、感染症法における四類感染症に指定されています。ブルセラ症は牛、豚、ひつじ、ヤギ、犬、海洋動物に感染します。
犬を宿主とする菌はブルセラ・カニス(Brucella canis)で、日本では現在でも感染の報告があります。2003年静岡で51頭、2005、2006年沖縄で18頭、2007年大阪で139頭、愛知で14頭、2008年東京・千葉で18頭、2010年京都で14頭となっています。
犬がこのブルセラ症に感染すると、メス犬の場合では流産が多くなるなどの繁殖障害が、雄では精巣や前立腺などに影響がでます。
感染経路は、感染犬との交配、糞尿や汚染エアロゾルを吸うなどから感染し、見た目では感染しているかどうか判断できないため知らない間に感染していたり、集団感染する可能性があります。 見た目には犬が感染しているかどうか判断できないため、何度も流産するといった場合、この感染症の可能性があります。
予防ワクチン・対処ワクチンはありません。検査の結果、犬が感染している(陽性)とわかったら、治療し、感染拡大を防ぎながら飼い続けることはできます。ただ治療はむずかしく感染犬は避妊去勢手術、長期投薬治療、定期的に抗体検査が必要で、治療しても治らない場合もありますし再発の可能性もあります。完全隔離飼育が必要となり、不特定多数の人や動物との接触をさけるためにおさんぽ等も控えなくてはなりません。