我が家のチョコ那智おでかけ写真です
  

愛犬にワクチン接種は必要か

犬のワクチンとは予防接種のことで、狂犬病予防ワクチンと混合ワクチンがあり、一般的に犬のワクチン接種というと、混合ワクチンのことをさします。この混合ワクチンには2種混合から11種混合まで種類があり、複数の病気に効果的なワクチンを組み合わせ、一度に接種します。接種により体の中に抗体をつくり、命にかかわる複数の感染症を予防したり、または万一感染しても軽症ですむことができます。この抗体は、一生つづくものではなく徐々に効果はなくなっていくので、継続したワクチン接種が必要とされています。

しかし、この混合ワクチンによるアレルギー反応(犬によって顔が腫れたり、痒がったり、ショック症状がでることがあります)がでる犬もすくなくありません。また、狂犬病予防ワクチンは年1回の接種が法律で義務付けられていますが、混合ワクチンは法律で義務化されているわけではなく、任意での接種となるため、混合ワクチン接種そのものを敬遠されるオーナーさんも少なくありません。一度アレルギー反応がでてしまったこは、次のワクチン接種時にも反応がでてしまう確率は高いようで、年1回という接種頻度について賛否両論あります。

ワクチンの製造メーカーを変える、ワクチンの種類を減らす、ことで副反応がでなくなるこもいるようですが、副反応がでてしまうとわかっていながら、ワクチンを受けさせるかと考えると、受けさせたくないと思うのは当たり前です。しかし、命にかかわる感染症を予防しないままいるのかと考えると、安易にワクチン拒否させるわけにもいきません。

世界小動物獣医師会(WSAVA)が発表した最新のワクチネーションガイドラインでは抗体検査を実施し、必要な場合にワクチンの接種を行うことが推奨されています。それにより、ワクチンアレルギーのある犬には、抗体検査をおこなってからワクチン接種をするかどうか判断する動物病院もでてきています。ただし、抗体検査の対象は6種以下のワクチンを接種している5か月齢以上の犬が対象となり、7種以上のワクチン(レプトスピラ症予防ができるもの)を接種している場合にはワクチンの性質上(抗体が1年以上持続しないため)、これまで通り年1回の接種が必要となるようです。

では愛犬に何種のワクチン接種をうけさせるとよいのかどう判断するのか?
私がいつもお世話になっている動物病院の獣医師さんに、愛犬に何種のワクチンをうけさせるか相談をしたときに、大きな公園とかよく行きますか?と聞かれました。なぜなら、とある公園によくつれていっていたわんこがネズミが媒介する感染症(犬レプストピラ症)にかかり親子で亡くなったと聞きました。
その公園とは、気候のよいときによく愛犬を連れて行くわたしもお気に入りの場所でした。山を切りひらいてつくられており、子供が楽しめる遊具や広場、川や池、噴水があり、いちめん芝生でおおわれた自然ゆたかな人気の比較的あたらしい公園です。不衛生な印象はありませんでしたし、とくに気にしてはいなかったので、実際にそういう話を聞いてとてもこわくなりました。

いろいろな人や犬などがあつまる公園などの場所は感染症に感染する確率が高くなります。また、ネズミが媒介する感染症(犬レプストピラ病)もあるのでネズミがいる、いそうな場所や地域では気をつけましょう。一般的に、室内以外歩かせない愛犬は5種ワクチン、公園や草むら、川のある場所などへ散歩させる愛犬は7〜8種以上のワクチン(レプトスピラ症予防ができるもの)を年1回接種するのが目安となっています。

抗体検査をうけさせる場合ももちろん費用がかかります、その後の検査の結果でワクチン接種させることになった場合、従来より費用がかかることになります。
愛犬の年齢、飼育環境(地域の環境や散歩コースなど)、疾患の有無、副反応の有無などを考慮して、何種のワクチンをいつ、どれくらいの頻度で接種するのがよいのか、愛犬にあった最良のワクチン接種計画を、信頼できる獣医師さんとよく相談しましょう。

ワクチンで予防できる犬の感染症と感染経路

犬の感染症は、細菌やウイルスが体内に入ることによって引きおこされるもので、命にかかわる危険なものも少なくありません。感染症によって症状も感染経路もさまざまで、他の感染症との混合感染や二次感染を起こし重症になることもあります。また、その中には人にも伝染する人畜共通感染症もあります。

じゃれあったり、けんかしたり感染犬と直接ふれること、感染犬が使った食器やシーツなどにふれること、感染犬が排泄した糞尿などを嗅いだりすること、空気やホコリなどからも感染するため、室内飼育、屋外飼育に関係なくかかるリスクがあります。
ワクチンで予防できる病気は以下のとおりです。

犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)
犬アデノウイルス1型の感染により発症します。とくに幼齢期に発症し、突然死の原因となるこわい病気です。(かかって一晩で死亡する場合があります。)感染犬のくしゃみの飛沫を吸いこんだり、感染犬の鼻水や目やにや唾液、排泄物などに直接ふれたり、においを嗅いだりして吸い込むことで感染します。感染すると発熱、元気がなくなる、食欲がなくなる、腹痛、下痢、嘔吐、扁桃腺が腫れたり、目の角膜が白くにごったりするなどの症状が現れます。
犬伝染性咽頭気管支炎(アデノウイルス2型感染症)
犬アデノウイルス2型の感染により発症します。この病気単独では死亡率は高くありませんが、他のウイルスとの合併症をおこすことで、症状がおもくなり死亡率も高くなる、咳をおもな症状とする呼吸器系の伝染病です。感染犬の排泄物に直接ふれたり、においを嗅いだりして吸い込むことで経口・経鼻感染します。感染すると咳、くしゃみ、鼻水など気管支炎の症状が見られ、ひどくなると肺炎をひきおこす。
犬コロナウイルス病
犬コロナウイルスによる伝染病で犬コロナウイルス性腸炎のことで、感染すると小腸でウイルスが増殖して腸炎をおこします。パルボウイルスと混合感染することが多く、重症化して死亡するリスクが高い病気です。犬コロナウイルスに感染した犬の便や尿、おう吐物などに接触することで感染します。症状は元気がない、食欲がおちる、下痢、おう吐など。軽い胃腸炎の症状のあと多くは回復しますが、重症化すると下痢は軟便から水様便、さらに血便へと移行していきます。子犬はおう吐と水様性下痢をひきおこします。幼犬は重症化しやすく急激に衰弱し、死亡のリスクもあります。効果的な薬はないため安静にして体力回復をまちます。
犬ジステンパー
犬ジステンパーウイルスの空気感染により発病し、とてもうつりやすく致死率が高い犬の代表的な病気で子犬に発症することがとても多い。感染犬のくしゃみの飛沫を吸いこんだり、感染犬の鼻水や目やに、唾液、排泄物などに直接ふれたり、においを嗅いだりすることで感染します。感染すると発熱、食欲もなくなり膿性の目やにや鼻汁がでます(初期)。体の免疫をつかさどる白血球が破壊されて、免疫力が低下して呼吸器系や消化器系に広がり、激しいせきや下痢をおこし脱水症状がおきます。神経や脳がおかされたりして、腰がたたなくなるなどのひどい麻痺やけいれん発作などをおこし、通常、感染後1ヶ月半ほどで衰弱して死亡することが多くあります。有効的な治療法はまだなく、2次感染などを防ぎ自然治癒を待つこととなります。
犬パラインフルエンザ感染症
この病気単独ではそれほど死亡率は高くありませんが、他のウイルスや細菌などの病原体と混合感染することで症状が重くなる病気です。「ケンネルコフ」とよばれるのがこの病気で、とくに子犬にかかる代表的な呼吸器系の病気です。子犬が集団で飼われている場合、他のいろいろな病原体と混合して発症することが多く、非常につよい感染力があります。パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスや細菌に感染した犬のくしゃみの飛沫をすいこんだりすることで経口・経鼻感染します。カッカッと短いかわいた咳をします。激しい咳、鼻水などの呼吸器症状(風邪の症状)で、症状がおさまったように見えても、また現れるのが特徴で寒い時期に多い。子犬期からのワクチン接種で予防することが大切です。じつは、わが家のチョコさんも家に迎え入れてすぐ、この感染症にかかりました
犬パルボウイルス感染症
犬のコロリ病」といわれていたこともある、非常に感染力がつよく、死亡率の高いこわい病気です。子犬が突然死する「心筋型」と、下痢や血便、おう吐をくりかえす「腸炎型」があります。犬パルボウイルスは、チリやほこりに混じって長期間生存する、たいへん抵抗力の強いウイルスで、通常の消毒液では効果があまり現れません。感染犬の排泄物に直接ふれたり、においを嗅いだりして吸い込むことで経口・経鼻感染します。ウイルスの抵抗力がひじょうに強く、汚染された土壌などに感染力をもったまま1年以上も生息するといわれています。
感染すると、「腸炎型」は激しいおう吐と下痢で、重症になると悪臭のともなう血便で脱水症状をおこし、ショック状態になることも。「心筋型」はとつぜん症状がでて、悲鳴をあげたりして短時間で呼吸困難をおこし、死亡します。治療は、他の犬だけでなく他の飼い主と接触しないように隔離し治療します。発見がはやく適切な処置ができれば一週間ほどで回復にむかうこともあるが、完治するまでには1ヶ月ほどかかります。いまのところ特効薬がないため、点滴や酸素吸入などで脱水やショック状態の回復につとめます。万一愛犬が感染した場合、犬舎やトイレ、排泄物・おう吐物で汚染されているとおもわれるものはもちろんのこと、犬がふれたものすべてを完全消毒しなくてはなりません。煮沸消毒するか、塩素系ハイターを30倍にうすめて使っても効果があります。
犬レプストピラ病
レプストピラ菌が原因の伝染病で、ネズミなどの野生動物が媒介します。つまり、ネズミがいるところではこの病気が発症する可能性があります。レプストピラ菌に汚染された尿が排泄された川水、下水などの環境で、愛犬が草を食べたり舐めたり水をのんだりすることで経口感染、直接ふれたりすることにより経皮感染します。夏の暑いとき川遊びをしたり、おさんぽ中に水たまりや側溝に入ってしまう愛犬はとくに要注意。
症状は急性型では出血、発熱、嘔吐、血便、口腔粘膜の潰瘍、黄疸、急性腎不全を呈して1週間以内に亡くなってしまうことの多い恐ろしい病気です。万一、愛犬が感染した場合、食器などの消毒をしたり、糞尿に直接さわらないように手袋を着用して処理するなど注意が必要です。

参考リンク
動物由来感染症/厚生労働省
人と動物の共通感染症ガイダンス/東京都獣医師会
レプストラ症とは/国立感染症研究所

子犬のワクチン接種と社会化

子犬は、母親からの初乳をつうじて母親のもつ免疫を譲りうけます。しかしこの免疫は、一時的なものでしかありません。したがって、母親譲りの免疫がきれる時期が、病気に対する抵抗力がなくなる時期。子犬にとってもっとも危険な時期です。
しかし、母親の免疫が残っているうちに追加接種をしても、十分な免疫効果を得ることができないため、確実な免疫をつくるために1〜2回の追加接種をします。

はじめてのワクチン接種の時期(生後3週〜14週齢ごろ)は、子犬にとって「社会化期」といわれ、しつけをするうえで最も大切な時期です。この時期に、ほかの犬と接触させるなどのさまざまな経験をさせることがとても重要で、この時期に経験の不足した見慣れないモノや人、動物、音などにたいして、恐怖心をかんじることがあり、おとなになってからの問題行動にまで発展することが少なくありません。

混合ワクチンの接種は犬の健康状態が良好なときをえらび、生後50日前後に1回目。その後、3〜4週間後に2回目を接種します(最低限)。 地域や動物病院によっては、3〜4回めまで接種する場合があります。その後は年1回追加接種するというのが主流となっています。

愛犬のワクチン接種後、気をつけること

ワクチンを接種したその日は、普段以上のはげしい運動や長時間の散歩などをさけてなるべく興奮させぬように心がけるようにします。ときに少し元気がなくなったり、寝ていることが多かったり、食欲が減退することがありますが、この程度であれば安静にして様子をみます。
しかし、ぐったりとしたり嘔吐や下痢がくりかえし続いたり、口唇や目のまわりが腫れたり、強いかゆみなどの強い異常症状がみられたときは、すぐに動物病院へ連れて行ってください。

はじめてのワクチン接種後は、病気に対する抵抗力がすぐにつかず1〜2週間かかるので、そのあいだは知らない人や他の犬猫との接触をさけるようにします。また、戸外のお散歩やシャンプーも避けてください。

ワクチンの接種前後は、食事面でのサポートもできるとよいです。
ワクチンは体内に病原体を入れて抗体をつくるというもの。病原体を体内にいれるわけですから、体のなかでもとくに肝臓への影響があります。なぜ肝臓に負担がかかるかというと、肝臓は体の解毒器官だからです。
ワクチンや薬は体内で「異物」と捉えるため、これらを無毒なものに替え、体外に排出しようと働きます。排気ガスやタバコの副流煙などの有害物質や、フードにふくまれる添加物、体にたまった老廃物もこの肝臓で解毒、排毒しなくてはいけません。

もちろん肝臓は解毒だけでなく、タンパク質の合成、ブドウ糖や脂質の代謝など他にまだまだたくさんの仕事があるため、ワクチン接種やフィラリアの投薬がはじまる春の季節はいちばん肝臓に負担がかかります。この肝臓の処理能力にも限界があります。負担がかかりすぎてダメージをうけると、体に不要なものが体内に残ったままの状態がつづき、また腎臓や心臓といった他の臓器にも負担がかかり病気のもととなります。

ただでさえ春から夏の季節は気温も上昇し新陳代謝がよくなってきますから、水分摂取量がすくなくなる秋冬でためこんでしまった老廃物や有害物質などの解毒でいそがしい時期になります。そこにワクチン摂取やフィラリアの薬などの投与がかさなってきます。ですからワクチン接種後はもちろん、できれば摂取前から肝臓をサポートする食事、解毒をスムーズにするための水分摂取が大切です。

フードは不必要な添加物が使われていない犬の食性を考慮したものを選びたいです。肝臓をサポートするハーブなどを取り入れるときは、ワクチン接種の場合は接種前後3〜4週間、 フィラリア予防薬の場合は投薬前後1週間ほど与えてあげるとよいと思います。